……もう、好き、じゃありません!
Ⅶ
放課後の裏庭。古い大木の木陰には、夕暮れの茜色が柔らかく差し込んでいた。
先に待っていた拓海は、私を見つけると少し緊張した面持ちで息をついた。
「待たせた?」
「ううん、私も今来たところ。……で、話ってなに?」
拓海は一歩、私との距離を詰めた。逃げ出したいような、でもどこか待ち望んでいたような、不思議な緊張感が空気を満たす。
「あのさ……昨日、『ずっと片思いで苦しかった』って言っただろ」
「っ……言ったけど、それがなに?」
「……ごめん。俺、鈍感だった。お前の気持ちに甘えて、ずっとお前を安心させてやれなかった」
拓海はぐっと拳を握りしめ、それから真っ直ぐに私を見据えた。
「これからは、お前に『好きじゃない』なんて言わせねえよ。……今度は、俺が追いかけるから。だから……俺を見ててくれ、夏音」
それは、かつて私がずっと欲しかった、拓海からの「特別な言葉」だった。
立場が逆転し、今度は拓海が私を追いかけようとしている。その事実が、胸の奥を熱く満たしていく。
「……そんなの、反則だよ」
あふれそうになる涙を堪えながら、私は小さく、でもはっきりとそう呟いた。
先に待っていた拓海は、私を見つけると少し緊張した面持ちで息をついた。
「待たせた?」
「ううん、私も今来たところ。……で、話ってなに?」
拓海は一歩、私との距離を詰めた。逃げ出したいような、でもどこか待ち望んでいたような、不思議な緊張感が空気を満たす。
「あのさ……昨日、『ずっと片思いで苦しかった』って言っただろ」
「っ……言ったけど、それがなに?」
「……ごめん。俺、鈍感だった。お前の気持ちに甘えて、ずっとお前を安心させてやれなかった」
拓海はぐっと拳を握りしめ、それから真っ直ぐに私を見据えた。
「これからは、お前に『好きじゃない』なんて言わせねえよ。……今度は、俺が追いかけるから。だから……俺を見ててくれ、夏音」
それは、かつて私がずっと欲しかった、拓海からの「特別な言葉」だった。
立場が逆転し、今度は拓海が私を追いかけようとしている。その事実が、胸の奥を熱く満たしていく。
「……そんなの、反則だよ」
あふれそうになる涙を堪えながら、私は小さく、でもはっきりとそう呟いた。