『欠陥品だがくれてやる』と下げ渡されましたが、英雄騎士の旦那さまは私を激重愛で離してくれません

 自分の屋敷に帰宅すると、リリアーナが笑顔で出迎えてくれた。そしてタイミング良く、今日舞踏会の招待状が届いたと教えてくれた。

「私、こういった舞踏会の招待状をいただいたのが、はじめてで……! どうしましょう、グレイ様」

 リリアーナの頬は嬉しそうに紅潮し、少女のように可憐さでグレイを近距離で見上げる。グレイは余裕ありげに笑顔を浮かべていたが、内心では今すぐ抱きしめたくて堪らなくなった。

 しかし、周りには自分たちを微笑ましく見守っている使用人たちがいる。『人の前で恥ずかしいので、ベタベタしてはいけません』とリリアーナから約束させられているグレイは、ぐっと我慢をした。

(俺の妻がこんなにも可愛い過ぎる、可愛いリリアーナを大勢の前に出すなんて難しい。俺は大事なものは、人に見せびらかさずに、大事にしまい込むタイプなんだ)

 しかしリリアーナの願いを、すべて叶えてやりたいのがグレイだ。こんなにも喜んでいるのだから、舞踏会に行かせてやりたい。

「この舞踏会に、夫の俺をパートナーとして連れていってくれる? リリアーナを完璧にエスコートするよ」

「わ、本当ですか! ああ、嬉しいです。夢みたい」

 彼女の周りに綺麗な花が降り注がないのが不思議なくらい、それはもう無邪気で愛らしい笑顔をグレイだけに向けてくれる。騎士団員として日々重ねている鍛錬の疲れは一瞬で消え、人より大きな体が地面から浮いているように軽く感じる。

(愛おしい妻の、自分だけに向けてくれる笑顔……。なににも変え難い価値があるな)

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