『欠陥品だがくれてやる』と下げ渡されましたが、英雄騎士の旦那さまは私を激重愛で離してくれません
「……ああ、もう我慢できない」

「え、きゃっ」

 グレイは使用人が見ているにも関わらず、リリアーナを大きな体で抱きしめた。そうしてつるりとした丸い額に口付けを落とし、柔らかな頬にも唇で触れる。

 それから顔を見ると、リリアーナは真っ赤になっていて、それもあまりにも愛おしくて唇にも軽くキスをした。

「グ、グレイ様! 流れるように色々と……! 皆さんがいる前ではしないと、この間約束をしましたよねっ」

「俺は自分では、自制心がある方だと思っていたんだ。けれど違った。愛おしい妻の前では、我慢のきかない男になってしまう」

 約束を忘れた訳ではないが、我慢できなかったのだ。なのでそれを堂々と主張する。

「格好よくキリッとしたお顔で言っても、ダメですよ!」

「ふふ、怒った顔も声も可愛らしい」

「グレイ様っ!」

 細い肩に頭を預けると、リリアーナから胸をくすぐる花の匂いがした。この人が自分の妻だと、グレイは自分の魂に刻みつける。

「舞踏会に行くなら、新しいドレスや宝石を新調しないと。リリアーナには何色が似合うだろう」

 そう言いながら顔を上げると、リリアーナは「もう!」と笑ってくれた。グレイはこういう瞬間に、自分もリリアーナに甘やかされているのだと、夢心地で思うのだ。


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