三十三歳、イケメン男子にご飯を奢るのが趣味になりました。
「うわ、うまそう」

目の前に置かれたハンバーグを見て、彼が声を弾ませた。今日は、私が気になっていた洋食屋さんだ。彼はハンバーグの大盛りライスつき。私は海老フライを頼んだ。

「ご飯、それで足りる?」
「足りなかったらおかわりする」

頼もしい。私も海老フライを一口食べると、さくっとした衣の中で、海老がぷりっと弾んだ。これは当たりだ。

「おねーさん、店選ぶのうまいね」
「ここは初めてだよ」
「じゃ、当たり引いたんだ」

彼はハンバーグを頬張り、満足そうに頷いた。こういう顔を見ていると、ご馳走する側も気分がいい。

「そういえばさ」

半分ほど食べたところで、彼が顔を上げた。

「おねーさんって、ほかにもご飯おごってる子いるの?」
「いないよ。あなたが初めて」
「そうなんだ」

少し意外そうな声だった。

「知らない人にご飯おごってって言われたのも、初めて」

彼はフォークを持ったまま笑った。

「SNSでもいるよ。ご飯おごってって言ってるやつ」

彼はフォークを置いてスマホを取り出し、何度か画面を触ってから私に向けた。若い男の子の写真と、一緒に食事に行く人を探す短い文章。その下にも、似たような投稿が並んでいる。

「へえ。こういうのがあるんだ」

『誰か焼肉連れてって』
『今日の夜、ご飯行ける人』

ずいぶん気軽だ。隣のテーブルに料理が運ばれてきて、彼がそちらをちらりと見た。
その隙に画面を少しスクロールすると、また別の男の子の写真が出てくる。この子も整った顔をしている。横顔しか写っていないけれど、鼻筋が綺麗だ。
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