三十三歳、イケメン男子にご飯を奢るのが趣味になりました。
「おねーさんも探してみれば?」
「私が?」
「うん。ご飯、一人より誰かいたほうが楽しいときあるじゃん」

それは、そうだ。今日だって、向かいで美味しそうに食べてくれる人がいるおかげで、楽しく過ごせている。

「でも、気をつけてね」

彼が画面を指さした。

「こうやって飯だけって書いてても、飯だけじゃ済まなくなるやついるから」
「どういうこと?」
「自分の店に連れてこうとしたり。ホストくずれの客引きとかさ」

なるほど。食べ終わったら、ごちそうさまでした、とは限らないらしい。

「あと、お金も。おごるって言ったら、別に何かもらえると思ってるやつもいるし」
「ご飯代のほかに?」
「そう。だから、ご飯だけ、ご飯代だけって、先に言っといたほうがいいよ」

私はもう一度、画面を見た。同じような文章でも、向こうが何を考えているのかまではわからない。

「知らない人と会うのって危なくない?」
「俺だって最初は知らない男だったじゃん」
「そうだけど、あなたはもう知ってる子だもの」

彼は私を見て、少し口元を緩めた。

「……そっか」

スマホを受け取ると、テーブルの端に伏せて置く。

「まあ、最初は駅とか、人の多いとこで会いなよ」
「うん。それはそうする」

彼は頷いて、残っていたハンバーグにフォークを刺した。

「あ、これ食べ終わったら、海老フライのページ見せて。次それにしようかな」

次もあるつもりらしい。

私は笑って、テーブルの脇のメニューを渡した。

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