三十三歳、イケメン男子にご飯を奢るのが趣味になりました。

テーブルが邪魔だった

電話が切れてからも、しばらくスマホを耳に当てていた。

店を出たとき、通りの向こうに真帆さんが見えた。買い物袋を持って、駅のあるほうへ歩いていた。声をかけられる距離ではなく、隣の人に話しかけられている間に、見失った。

気づかれただろうかと思って、あとで連絡した。

彼女じゃないと伝えれば、それで済むと思っていた。
来週も会えると思っていた。
映画を見て、そのあと何か食べる。彼女の送ってきた予告編に感想を返したときには、もうそこまで楽しみにしていた。

「……言えばよかった」

一緒に行きたかった。それは言った。
でも、何で一緒にいたいのかは、言えてなかった。
< 65 / 90 >

この作品をシェア

pagetop