神崎くんは残念なイケメン

29 エピローグ

「こんにちは。御成婚、おめでとうございます」
 結婚式まであと数ヶ月に迫った打ち合わせは、司会の方と初めて会う日だった。
 司会の安藤さんは、40歳くらいの女性で、にこやかな営業スマイルで挨拶する。
「この度は、よろしくお願いします」
 名刺を私たちに差し出してから、どうぞ、と椅子を示した。私たちは並んで座る。
 どういう雰囲気にしたいか、どんな企画をするか、などあれこれ話してから、安藤さんは言った。
「お二人の人となりを紹介するときに、参考にさせていただきますので、ちょっとお聞かせくださいね」
 安藤さんは微笑みながら、紙とペンを持って言った。
「学生時代の互いの印象はどうですか?」
 問われた隼人くんが、目を輝かせながら言った。
「すごい気の強そうな子だなって」
 安藤さんの笑顔がちょっと凍りつく。そりゃそうだよね。そら褒め言葉か?って思うよね。
 せめてしっかりしてる、とか、他に言いようもあるんだろうに。
「ええと……香子さんはいかがですか?」
 私は苦笑いを引っ込めて、うーん、と宙を仰いだ。
 ふと思い出される、隼人くんの色んな顔。不思議な言動。
 私は思わず、笑って言った。
「なんていうか……残念なイケメンだなって」
 安藤さんの笑顔が、完全に苦笑いに変わったのを見て、私と隼人くんは目を見合わせて笑った。

ーーfin.
< 29 / 29 >

ひとこと感想を投票しよう!

あなたはこの作品を・・・

と評価しました。
すべての感想数:0

この作品の感想を3つまで選択できます。

  • 処理中にエラーが発生したためひとこと感想を投票できません。
  • 投票する

この作家の他の作品

表紙を見る 表紙を閉じる
百合岡翠(31)は社長秘書。貯めたお金でマイホームを持つのが夢だ。 中学生のころから知っている社長の一人息子、青柳光治(23)の好意には気付きつつも、それに応える気はない。 それなのに、少しずつ、少しずつ、近づいていく距離に、翠は戸惑う。 ーーどうせただの憧れだろうと、そう思っていたのに。 家事スキル最強の世話焼き年下男子×生活スキルが壊滅的な高嶺の花の秘書 ちょっとじれったいオフィスラブ+ときどきタヌキオヤジ。 *** 「ねぇ、光治くん。私、そんなに綺麗じゃないよ」 「もう絶対ェ、他の男になんてやらねェ」 *** 関連作品 「猫かぶり紳士の癒し方~小リス系OLは疲れた彼に愛でられる~」(嵐志×菜摘)
表紙を見る 表紙を閉じる
ひそかに憧れていた先輩社員、神南嵐志(30)と付き合い始めた原田菜摘(26)。 夢のような幸運を喜びながらも、三ヶ月が経つころから、そろそろ次に進みたいと思うようになってーー *** 「せっかく今まで我慢してたのに……」 「今日は俺が満足するまで、たっぷり愛させてもらうよ」 *** 疲れた心に糖分を。 ポップならぶえっちをお楽しみいただければ幸いです。 *** 関連作品 「女豹と子犬とときどきタヌキ〜敏腕秘書がほだされるまで〜」(光治×翠)
恋と喧嘩は支社の華

総文字数/101,833

恋愛(オフィスラブ)35ページ

表紙を見る 表紙を閉じる
イベント会社の支所に勤務している岩瀬好波は、イケメン上司・的場秀一とそりがあわない。 毎日のように喧嘩の耐えない二人だったが、飲み会を境に互いを見る目が変わっていって―― ケンカップルが書いてみたくて書いた作品です。 お楽しみいただければ幸いです。 *以前アルファポリスに掲載していた作品を移動 *表紙は作者のラフ画をAIで清書したものです

この作品を見ている人にオススメ

読み込み中…

この作品をシェア

pagetop