今宵、黒蝶を溶かして。

○第二話 黒蝶のアジト

冬真に手を引かれ、光莉がたどり着いたのは、街の外れにある古い倉庫だった。

大きな扉が開くと、奥には何台ものバイクが並んでいる。
壁には、黒い蝶のエンブレム。

ここが――黒蝶のアジト。

「……怖い」

光莉が小さくつぶやくと、冬真はすぐに足を止めた。

「帰るか?」

「え……?」

「お前が嫌なら、ここには連れて入らない」

冷たい表情のままなのに、握られた手だけは優しかった。

光莉は、そっと首を横に振る。

「……冬真くんがいるなら、大丈夫」

その瞬間、冬真の瞳がわずかに揺れた。

「……そうか」

短い返事。
けれど、光莉の手を包む指先に、少しだけ力がこもる。

その様子を、倉庫の奥から見ていた男がいた。
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