今宵、黒蝶を溶かして。
「おーおー。総長が女の子を連れてくるなんて、明日は雪でも降るんじゃねぇか?」

明るい声とともに、神谷迅が近づいてくる。

「うるさい」

冬真が睨むと、迅は楽しそうに笑った。

「お、怖っ。で、その子が例の?」

「例のって何……?」

光莉が首をかしげる。

「いやぁ、総長が昔から大事にしてた――」

「迅」

冬真の声が低くなる。

「それ以上言うな」

「はいはい」

迅は両手を上げて、光莉に向き直った。

「俺、神谷迅。黒蝶の特攻隊長。よろしくな、光莉ちゃん!」

「よ、よろしくお願いします……」

光莉が頭を下げると、迅は目を丸くした。

「かたっ! もっと普通でいいって。俺のことは迅で――」

「光莉に近づきすぎ」

冬真が、光莉を自分の後ろへ隠す。

「は?」

「近い」

「いや、まだ挨拶しかしてねぇだろ!」

迅が大声を上げたところで、奥から冷静な声が響いた。
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