ちいさな世界に恋をして、
「おかあさんが来るまで、こうして待ってましょう」
「………」
お母さんに来てもらうことにしたけど、
……お母さん、彼女のこと見えるだろうか。
彼女の家とやらを見つけるまでは、一緒にいてあげないといけないのに。見えなかったらご飯とかどうしよう……
「あのさ、」
「はい?」
「得体の知れない私を連れて帰ったら、その……迷惑だよね?」
表情だけで判断するなら、私の提案を嫌がっていると勘違いしそうになるけど、本気で止めようとしないってことは、
これが、大人がよくやる"遠慮"ってやつかと。
また一つ賢くなった。
「おかあさんは、困っている人を放っておくようなつめたい人ではありません。あと、わたしも」
「でも……」
「大丈夫です。
お姉さんは、わたしがたすけます」
「えっ」
「わたし、ヒーローですから」
分け与えたのはあんパンじゃなくておにぎりだったけど、この時の私は、さながらアンパンマンにでもなった気分で。
人助けをしている自分に満足しながら、彼女に回した腕により力を込めた私は。
初めての散策土産に、少しばかり興奮していたんだと思う。
