ちいさな世界に恋をして、

「おかあさんが来るまで、こうして待ってましょう」

「………」

お母さんに来てもらうことにしたけど、
……お母さん、彼女のこと見えるだろうか。

彼女の家とやらを見つけるまでは、一緒にいてあげないといけないのに。見えなかったらご飯とかどうしよう……


「あのさ、」

「はい?」

「得体の知れない私を連れて帰ったら、その……迷惑だよね?」

表情だけで判断するなら、私の提案を嫌がっていると勘違いしそうになるけど、本気で止めようとしないってことは、

これが、大人がよくやる"遠慮"ってやつかと。
また一つ賢くなった。


「おかあさんは、困っている人を放っておくようなつめたい人ではありません。あと、わたしも」

「でも……」

「大丈夫です。
お姉さんは、わたしがたすけます」

「えっ」

「わたし、ヒーローですから」

分け与えたのはあんパンじゃなくておにぎりだったけど、この時の私は、さながらアンパンマンにでもなった気分で。

人助けをしている自分に満足しながら、彼女に回した腕により力を込めた私は。

初めての散策土産に、少しばかり興奮していたんだと思う。


< 8 / 8 >

ひとこと感想を投票しよう!

あなたはこの作品を・・・

と評価しました。
すべての感想数:0

この作品の感想を3つまで選択できます。

  • 処理中にエラーが発生したためひとこと感想を投票できません。
  • 投票する

この作家の他の作品

きみと、どうかしてる。

総文字数/183,929

恋愛(ラブコメ)365ページ

表紙を見る 表紙を閉じる
ふざけて笑っている時間は いつの間にか特別になって。 話せると楽しくて 会えると嬉しい。 それだけで、充分なはずだった。 「朝まで付きっきりで、」 「………」 「二人きりで。」 「……遊んでるよね?」 「うん。楽しい」 「楽しくないよ…」 充分だと、思ってたのに。 きみもあたしも、どうかしてる。

この作品を見ている人にオススメ

読み込み中…

この作品をシェア

pagetop