ちいさな世界に恋をして、

「どこにですか」

「えっ、それは……」

「歩けないのにどうやって?」

「大丈夫よ!スマホがあ、
……違うや。無くしたんだった……」

スカートのポッケに手を入れて、暗い表情で深いため息を吐く幽霊さん。

「呼びます」

「いやだから、」
「わたしのおかあさん」

「……えっ?」

「お姉さんのおかあさんでもいいです。
おうちの人のばんごう、分かりますか?」

「………」

「………わたしのおかあさん、呼びますね」

幽霊であろうが、人は人。
困っている人を放っておくわけにはいかない。

この人には、私しか頼る人がいないんだから。


頼まれたわけでもないのに、初めての事件にワクワクだけじゃなくドキドキもしてきて、謎の使命感にかられた私の行動は早かった。

「もう、暗くなるので」

「うん?」

「お姉さん、おんどは、」

"温度は感じるタイプの幽霊ですか"なんて、不信感を煽るような質問をしてしまったら、彼女が幽霊だと気付いてしまっていることがバレたら。
取り憑かれてしまうかもしれない……

「さむいのきらいですか?」

「寒い?…え、なんで?」

「わたし、さむいのだめです。だから、」

「は!?」

自分よりも随分大きい彼女をぎゅっと抱きしめると、とっても暖かかったから。

……なるほど。
これはたぶん、温度を感じるタイプの幽霊だな。


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