君のいない世界で恋はできない
同じマンション、同じフロアに住む初音。
ショートヘアで茶髪っ気のある髪の、見た目は少しボーイッシュな女の子。
幼少期から変わらない。
でも中身はちゃんと女の子していて、俺に対して向ける笑顔が可愛くて、毎年バレンタインにくれるアイシングクッキーが、嬉しいような寂しいような気持ちになる。
俺のことをどう思ってるのか分からない。
屈託ない笑顔を向けてくれるくらいだから、好いてくれているんだろうけど…それが、恋愛の"好き"なのかは分からない。
そして俺たちの関係は、よく分からないものだった。
俺の家の構造はやや変わっていて、玄関を入ってすぐ左の突き当たりに洗濯機がある。
洗濯機を前にして左にトイレ、右が浴室となっている。
玄関を入ってすぐのスペースが俺の部屋である。
プライバシーとは?プライベートとは?
誰かが帰ってくれば俺の部屋を必ず通るし、夜中にトイレに行くってなっても必ず通る。
リビングにするには狭いスペースで、末っ子の俺の部屋はそこになってしまった。
だが利点もある。
机の向こうにある窓を開けていると、俺の家の前にあるエレベーターから降りて、駆けていく初音が見える。