愛してるなんて、噓でしょう?

24話.屋敷への招待

美月 side


「今度、俺の家に来ない?」

蓮さんからそう誘われたのは、数日後のことだった。

「蓮さんの家、ですか?」

「うん。少し落ち着いて話せる場所がいいと思って」

少し迷った。


東條会の若頭である蓮さんの家。


きっと、普通の家とは違うのだろう。

「無理にとは言わないよ」

「いえ、行ってみたいです」

そう答えると、蓮さんは嬉しそうに笑った。


約束の日。


迎えに来てくれた車に乗り、しばらく走る。


やがて、大きな門が見えてきた。


その先には、広い敷地と立派な建物があった。

「ここが……」

「俺の家だよ」

車を降りると、何人かの人が出迎えてくれた。

「お帰りなさいませ、蓮様」

「ただいま。今日は彼女を連れてきたんだ」

彼女。


その言葉に、頬が熱くなる。

「水瀬美月さんです。よろしくお願いします」

私が頭を下げると、皆さんは丁寧に挨拶を返してくれた。


屋敷の中は広く、静かだった。


廊下を歩きながら、私は周囲を見回す。

「緊張してる?」

蓮さんが尋ねた。

「少しだけ」

「大丈夫。ここではゆっくりしていって」

案内された部屋は、落ち着いた雰囲気の和室だった。


窓からは庭が見える。

「綺麗なお庭ですね」

「昔からある庭なんだ」

「蓮さんも、ここで育ったんですか?」

「そうだよ」

そう言って、蓮さんは庭を見つめた。


その横顔が、少しだけ遠く感じる。

「蓮さん?」

「ん?」

「ここで、どんな子ども時代を過ごしたんですか?」

彼は一度目を伏せた。

「……いろいろあったよ」

そのとき、部屋の外から声がした。

「蓮様。一条様がお見えです」

蓮さんの表情が変わった。

「莉子が?」

「はい。会長もご一緒です」

会長。


宗一郎さんのことだろうか。


蓮さんは私を見た。

「美月ちゃん、少しここで待っていてくれる?」

「はい」

「すぐ戻るから」

そう言って、蓮さんは部屋を出ていった。


一人になった私は、静かな部屋で庭を眺めた。


この場所には、蓮さんの過去がたくさん残っているのだろう。


そう思うと、胸の奥が少しだけざわついた。

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