愛してるなんて、噓でしょう?
蓮 side


「美月ちゃんに、お父様のことを話したのか」

莉子を呼び出した俺は、彼女を前にして静かに尋ねた。

「少しだけ」

「何を話した?」

「十二年前、お父様が東條会と関わっていたこと」

俺は目を閉じた。

「余計なことを」

「余計なことではないわ」

莉子の声は落ち着いていた。

「彼女はもう、何も知らないままでいられる立場ではないでしょう」

「俺が話す」

「いつ?」

返す言葉がなかった。

「蓮。あなたが彼女を守りたいのは分かる。でも、何も知らせずにそばに置くことが、本当に彼女のためなの?」

「……分かってる」

「いいえ。あなたは分かっていない」

莉子は静かに俺を見た。

「十二年前と同じことを繰り返すつもり?」

その言葉に、胸の奥が冷たくなった。


十二年前。


あの日のことを、忘れた日はない。

「莉子」

「何?」

「美月ちゃんを、これ以上巻き込まないでくれ」

「それは、あなたにも言えることよ」

莉子はそう言って、部屋を出ていった。


一人になった俺は、机の上に置かれた古い書類を見つめた。


そこには、十二年前の出来事に関する記録が残されている。


そして、その中には美月の父親の名前もあった。


俺は書類を閉じた。


今はまだ、彼女に見せられない。


けれど、もう時間は残されていないのかもしれない。

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