愛してるなんて、噓でしょう?
蓮 side
助手席で苺のケーキを嬉しそうに眺める美月。


その姿を見ているだけで、胸の奥が満たされていく。


恋人になった。


その事実が、今でも信じられない。


十二年前、あの小さな女の子がくれた笑顔を、もう一度見ることができるなんて。


けれど。


俺が知っている美月の過去を、彼女は知らない。


そして、彼女の父親に何があったのか。


それを知れば、今のように笑ってくれるだろうか。

「蓮さん?」

「ん?」

「ケーキ、半分こしようね」

美月が小さく笑う。

「ああ。そうしよう」

今はまだ、すべてを話せない。


でも、いつか必ず。


彼女が知るべきことから逃げないと決めている。


――幸せな時間ほど、失いたくないと思ってしまう。


それでも、過去は静かに二人へ近づいていた。

< 138 / 179 >

この作品をシェア

pagetop