愛してるなんて、噓でしょう?
蓮 side
「最近、妙な人物が美月の周囲をうろついているらしい」

悠真の言葉に、俺は書類から顔を上げた。

「誰だ」

「まだ特定できていない。ただ、一条家と関係がある可能性もある」

「……そうか」

「美月には何かあったか?」

「今のところ、本人からは聞いていない」

悠真は腕を組んだ。

「なら、先に本人へ確認しろ。知らないところで話が進むのは、あいつにとって不安だろ」

「分かっている」

そう答えながら、俺はスマートフォンを手に取った。


美月に連絡しようとした、そのとき。


画面に彼女からのメッセージが表示された。

『今日、少しだけ不思議なことがあったの』

胸の奥が冷たくなる。

『今度会ったときに話すね』

俺はすぐに返信した。

『分かった。何かあったら、いつでも連絡して』

そして、もう一度悠真を見る。

「調べてくれ」

「分かった」

「ただし、美月に危険が及ばないように。彼女の意思を無視するな」

悠真は少しだけ目を細めた。

「お前も変わったな」

「何がだ」

「以前のお前なら、自分だけで全部決めようとしていた」

返す言葉がなかった。


美月を守りたい。


その気持ちは変わらない。


でも、彼女の人生を俺が決めていいわけじゃない。


それだけは忘れてはいけない。


――知らない誰かが知っている、蓮の過去。


その影は、美月の心に小さな疑問を残した。

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