愛してるなんて、噓でしょう?

5話.少し不思議な人

水瀬美月 side


「美月ちゃん、最近よく笑うようになったね」

「え?」

朝、出勤してすぐに店長から言われた。

「そうですか?」

「うん。なんだか楽しそう」

店長はにこにこと笑っている。


楽しそう、か。


確かに最近、少しだけ楽しみなことがある。


それはもちろん。

「……別に、何もないですよ」

「ふふ。そう?」

私は誤魔化すように、エプロンの紐を結び直した。


東條蓮さん。


最近、あの人のことを考える時間が増えた。


いつも優しくて、穏やかで。


だけど、どこか不思議な人。


何をしている人なのかも分からないし、住んでいる場所も知らない。


知っているのは名前と、コーヒーが好きだということくらい。


……もっと知りたい。


そう思うのは、変なのかな。

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