愛してるなんて、噓でしょう?
水瀬美月 side


家に着いて、バッグを置いた。


今日はいろんなことがあったな。


蓮さんと偶然会えたこと。


一緒に駅まで歩いたこと。


そして。

『美月ちゃん』

名前を呼ばれたときの、あの声。

「……ふふ」

思い出しただけで、頬が緩んでしまう。


そのとき、ふと窓の外を見た。


夜空には、小さな星がいくつか光っている。


星。


どうしてだろう。


その景色を見た瞬間、胸の奥がきゅっとした。

誰かの声が聞こえたような気がした。

『また会おうね』

……誰?


私は眉を寄せた。


けれど、どれだけ考えても思い出せない。

「気のせい、だよね」

そう呟いて、カーテンを閉めた。


まだ知らない。


私の知らないところで、十二年前の過去が動き始めていることを。

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