愛してるなんて、噓でしょう?

6話.東條会の若頭

水瀬美月 side


「……どうしよう」

私はスマートフォンを見つめながら、小さく呟いた。


画面には、蓮さんとのメッセージ。

『食事、楽しみにしてるね』

たった一言。


それだけなのに、何度も読み返してしまう。

「美月ちゃん、何してるの?」

「ひゃっ!」

突然声をかけられて、私はスマートフォンを伏せた。


店長が不思議そうにこちらを見ている。

「そんなに驚かなくても」

「す、すみません!」

「もしかして、例の男の人?」

「えっ!?」

「ふふ。分かりやすいね」

店長は楽しそうに笑った。


もう、絶対に顔に出ている。

「……そうです」

小さく認めると、店長は嬉しそうに頷いた。

「いいじゃない。素敵な人だものね」

「はい……」

素敵な人。


そう思う。

でも、蓮さんにはまだ知らないことが多すぎる。


どんな仕事をしているのか。


どんな場所で暮らしているのか。


そして、どうしてあんなに時々寂しそうな顔をするのか。


私はまだ、何も知らない。

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