愛してるなんて、噓でしょう?
その頃。


東條会本部。


広い部屋の奥に、一人の男が座っていた。


東條会会長、東條宗一郎。

「蓮」

「何ですか、父さん」

「最近、お前が頻繁に出歩いていると聞いた」

「仕事に支障はありません」

「そういう話をしているんじゃない」

宗一郎の視線が鋭くなる。

「十二年前のことを忘れたわけではあるまい」

蓮の表情が変わった。

「……忘れるわけがないでしょう」

「ならば分かっているはずだ。あの娘に近づくことが、何を意味するのか」

部屋に沈黙が落ちた。


蓮は父親を真っ直ぐ見つめた。

「美月は関係ない」

「本当にそう言い切れるのか?」

その言葉に、蓮は何も答えなかった。


十二年前。


星灯りの夜。


忘れたくても、忘れられない過去。


そして今。


再び動き始めた運命。

< 43 / 179 >

この作品をシェア

pagetop