愛してるなんて、噓でしょう?

8話.また会いたい

水瀬美月 side


「……はぁ」

私はカフェの窓際で、小さく息を吐いた。


最近、ため息が増えた気がする。


理由は分かっている。


東條蓮さん。


あの人のことを考えると、どうしても気持ちが落ち着かない。


優しくて、穏やかで。


私の名前を呼ぶときは、いつも嬉しそうに笑ってくれる。


でも。


あの人は、東條会の若頭。


私の知らない世界にいる人。

「美月ちゃん、どうしたの?」

店長が心配そうに顔を覗き込んできた。

「何でもないです」

「また考え事?」

「……ちょっとだけ」

店長は私の隣に立つと、窓の外を見た。

「誰かのこと?」

「えっ!?」

「ふふ。図星?」

「もう、店長!」

思わず頬が熱くなる。


店長は楽しそうに笑っていた。

「無理に答えなくてもいいけど、悩んでるなら一人で抱え込まないでね」

「……ありがとうございます」

優しい言葉に、胸が少し温かくなった。

< 51 / 179 >

この作品をシェア

pagetop