愛してるなんて、噓でしょう?
東條蓮 side


「蓮さん」

悠真が部屋に入ってきた。

「何だ?」

「一条家から連絡がありました」

その名前に、俺は眉を寄せる。

「一条?」

「莉子さんが、近いうちにこちらへ来るそうです」

「……そうか」

一条莉子。


東條会と深い関わりを持つ家の娘。


そして、十二年前の出来事を知る数少ない人間。

「蓮さん」

「何?」

悠真が少し言いにくそうに口を開いた。

「美月さんのこと、彼女には知られない方がいいかもしれません」

俺はゆっくりと顔を上げた。

「どういう意味だ?」

「一条家も、あの事件に関係していますから」

沈黙が落ちた。


十二年前の秘密。


まだ終わっていない。


俺は窓の外を見つめた。


美月。


君を守りたい。


だけど、過去は簡単には消えてくれないらしい。

< 50 / 179 >

この作品をシェア

pagetop