愛してるなんて、噓でしょう?
美月 side


連れてきてもらったのは、落ち着いた雰囲気のレストランだった。


店内は静かで、柔らかな照明がテーブルを照らしている。

「こんな素敵なお店、初めてです」

「気に入ってくれた?」

「はい!」

席に着き、メニューを開く。


けれど、どれも美味しそうで、なかなか決められない。

「迷ってる?」

「はい。どれも美味しそうで……」

「じゃあ、俺と同じものにする?」

「いいんですか?」

「もちろん」

蓮さんが店員に注文を伝える。


その横顔を見ていると、ふと疑問が浮かんだ。

「蓮さんって、いつもこんなお店に来るんですか?」

「仕事の付き合いではね」

「そうなんですね」

「でも、今日は仕事じゃないよ」

「え?」

蓮さんは私を見つめた。

「美月ちゃんと一緒にいたくて誘ったんだから」

「……っ」

まただ。


この人は、どうしてこんなに自然に恥ずかしいことを言えるんだろう。

「俺といるの、嫌だった?」

「そんなことないです!」

思ったより大きな声が出てしまった。


蓮さんは少し目を丸くして、それから笑った。

「よかった」

その一言が、なぜか胸に残った。


食事が運ばれてきて、私たちはゆっくり話をした。


好きな食べ物のこと。


休日の過ごし方。


昔読んだ本のこと。


本当に何気ない話ばかり。


だけど、蓮さんと話していると時間が過ぎるのが早かった。

「美月ちゃんは、休日は何してるの?」

「本を読んだり、カフェに行ったりします」

「一人で?」

「はい。基本的には」

「じゃあ、今度一緒に行こうよ」

「カフェですか?」

「うん。美月ちゃんのお気に入りの場所に連れていってほしい」

「いいですね!」

思わず笑顔になる。


蓮さんはそんな私を見つめていた。

「……何ですか?」

「いや。美月ちゃんが笑ってくれると嬉しいなって」

「そんなに笑ってますか?」

「うん。もっと見たいと思うくらい」

また、胸が熱くなる。


私は誤魔化すように水を飲んだ。

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