学校一のおバカ男子は、IQ200の意地悪でした。
スーツ姿の彼は、高校生の頃よりもさらに背が高く、引き締まった体をしていて、見上げるだけで心臓がうるさく脈打ち始める。



「ちょっと待って、まだバッグも置いてないのだけど……っ」





「拒否権なし。紬、今日も頑張ったね」





柊くんは私のバッグを強引に奪ってソファへ投げ出すと、私の腰を大きな両腕でぎゅっと抱きしめ、隙間もないほど自分の胸の中に閉じ込めた。





背中に回された彼の手のひらから、あの懐かしい、驚くほど高い体温がじんわりと伝わってくる。




「……ん。やっぱり紬の匂いが一番落ち着く。


毎日毎日、会社で無能な大人たちの相手させられて大変だから、これでやっと充電できた」





「無能だなんて言ったらダメよ。



柊くん、会社の偉い人なのでしょう?」




「まぁ、俺には紬と、紬の大切な人がいれば十分幸せってこと」





相変わらず傲慢で、極上にいじわるな物言い。
でも、私の首筋に顔を埋めて甘えるように何度も鼻先を寄せてくる柊くんの姿を見ると、おもわず口角があがってしまう。





この人、会社では『冷徹』とか『仕事に注いでる』とか言われてるとは到底思えないわね。




会社の人に見せてあげたい。
すごくびっくりするだろうなぁ。
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