崖っぷち魔術師は嘘をつく~一夜の過ちを犯した相手には、好きな人がいました~
「やめて! レベッカ、戦うのはだめよ! どうか……」
「……大丈夫ですよ、ミランダ様」
レベッカは微笑むと、ふと魔法を展開して――そして一瞬の後に、彼女の姿は栗色の髪と青色の目を持つ女性に変化していた。
まだ見習いだからか、その変化はよく見ると若干怪しいところがある。だがよく知らない者が見ればその出で立ちは、アルベック城の指揮官であるミランダに見間違えられるだろう。
ミランダの全身から、ぶわっと嫌な汗が噴き出た。
「レベッカ……」
「ミランダ様、優しくしてくれてありがとうございました。どうか……ご無事で」
レベッカが少女のままの声で言った直後、南の門がドォンと爆音を立てて揺れた。王国軍が巨大な破城槌を持ち出し、門を破ろうとしていた。
レベッカはミランダにきびすを返すと、たんっと地を蹴った。宙を跳ぶ様はやはり少し危なっかしいが、彼女の後を魔道学院の生徒たちが次々に追い、兵士たちも気合いの声を上げて門のほうに走っていく。
(やめて、行かないで!)
誰かがミランダの腕を引っ張って、城のほうに避難させようとする。
(戦わないで!)
城門を越えて飛んできた魔術師に気づいたらしく、王国軍の弓矢部隊が前に出る。
(傷つけないで!)
ヒュンヒュンと弓弦が鳴り、魔術師たちが空中から放った炎が、風が、王国軍に降り注ぐ。
門の隙間から王国軍を討つために、兵士たちが弓に矢をつがえる。
誰かの悲鳴が上がる。
どしゃっと音がして、矢で撃ち落とされた魔術師が地面に倒れ伏す。矢を受けた兵士が、倒れる――
「……やめて!」
後ろから引っ張る力に抗い、ミランダは飛び出した。
地面を蹴り、そのひとっ跳びでアルベック城の尖塔まで飛び上がり、南の門を越える。
右手から放ったまばゆい光を地面に浴びせ、王国軍や馬たちが怯んだ隙に門を飛び越えて着地する。
「……ミランダ様!」
ミランダが着地した脇には、レベッカがいた。既に彼女の変化は半分ほど解けているし、彼女はぐったりとした仲間を抱きかかえていた。……先ほど、矢で撃ち落とされた男子生徒だ。
(もう、やめて!)
「……大丈夫ですよ、ミランダ様」
レベッカは微笑むと、ふと魔法を展開して――そして一瞬の後に、彼女の姿は栗色の髪と青色の目を持つ女性に変化していた。
まだ見習いだからか、その変化はよく見ると若干怪しいところがある。だがよく知らない者が見ればその出で立ちは、アルベック城の指揮官であるミランダに見間違えられるだろう。
ミランダの全身から、ぶわっと嫌な汗が噴き出た。
「レベッカ……」
「ミランダ様、優しくしてくれてありがとうございました。どうか……ご無事で」
レベッカが少女のままの声で言った直後、南の門がドォンと爆音を立てて揺れた。王国軍が巨大な破城槌を持ち出し、門を破ろうとしていた。
レベッカはミランダにきびすを返すと、たんっと地を蹴った。宙を跳ぶ様はやはり少し危なっかしいが、彼女の後を魔道学院の生徒たちが次々に追い、兵士たちも気合いの声を上げて門のほうに走っていく。
(やめて、行かないで!)
誰かがミランダの腕を引っ張って、城のほうに避難させようとする。
(戦わないで!)
城門を越えて飛んできた魔術師に気づいたらしく、王国軍の弓矢部隊が前に出る。
(傷つけないで!)
ヒュンヒュンと弓弦が鳴り、魔術師たちが空中から放った炎が、風が、王国軍に降り注ぐ。
門の隙間から王国軍を討つために、兵士たちが弓に矢をつがえる。
誰かの悲鳴が上がる。
どしゃっと音がして、矢で撃ち落とされた魔術師が地面に倒れ伏す。矢を受けた兵士が、倒れる――
「……やめて!」
後ろから引っ張る力に抗い、ミランダは飛び出した。
地面を蹴り、そのひとっ跳びでアルベック城の尖塔まで飛び上がり、南の門を越える。
右手から放ったまばゆい光を地面に浴びせ、王国軍や馬たちが怯んだ隙に門を飛び越えて着地する。
「……ミランダ様!」
ミランダが着地した脇には、レベッカがいた。既に彼女の変化は半分ほど解けているし、彼女はぐったりとした仲間を抱きかかえていた。……先ほど、矢で撃ち落とされた男子生徒だ。
(もう、やめて!)