崖っぷち魔術師は嘘をつく~一夜の過ちを犯した相手には、好きな人がいました~
「それよりも。ミランダは、私の我が儘で連れてくることになりました。私も彼女とセドリックのことを全力で守りますが……」
「わかっておりますよ」

 女王は息子にうなずきかけてから、ミランダに視線を向けた。

「ミランダ、あなたのことは我々リドベキア王家が全力で守ります。この城に、あなたやセドリックを害しようとする者はおりません。あなたはシリルの愛した人として、セドリックの――王家の子の母として、ゆっくりと過ごしなさい」
「で、ですが、女王陛下。私は……本当は……」
「いいのです。わかっておりますよ、ミランダ」

 嘘をつく苦しさにミランダが声を震わせるが、女王はやんわりとミランダを止めた。

「誰よりも、あなたが苦しい思いをしているのでしょう。……全部、大丈夫です。わたくしたちは、あなたを息子の愛する人として、セドリックを孫として受け入れることを決めたのです」
「……」
「アルベック城での出来事、わたくしたちも聞いております。……ミランダ、あなたはこれまで十分頑張りました。これからのあなたとセドリックを守るのは、わたくしたちの役目。うんと甘え、うんと気を楽にして幸せになってください」
「母上。ミランダがもし私に嫌気が差したらいつでもアルベック城に帰っていいと言っております。ミランダは、空を飛ぶことができるので」

 シリルが言うと、女王は「まあ!」と嬉しそうに声を上げた。

「本当にあなた、空を飛べるのね! ああ、この国には魔術師がほとんどいないから、いつか魔術師の方とたくさんお話をしたいと思っていたのよ! ねえ、ミランダ。あなたが元気なときでいいから、素敵な魔術を見せてくださいませんか?」
「も、もちろんです。私なんかの魔術でよろしければ、是非」
「なんかと言いますが、彼女はアルベック城での交戦時にたった一人で、負傷した多くの騎士や仲間たちを癒やしました。実力は、折り紙付きですよ」
「も、もう、殿下! あんまり言わないでください!」

 べた褒めしてくるシリルが恥ずかしくて照れ隠しで言うと、女王は「まあ」と喜び、王配も「仲がいいのはいいことですね」とほんわかと言ったのだった。
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