崖っぷち魔術師は嘘をつく~一夜の過ちを犯した相手には、好きな人がいました~
「ミランダ、わたくしたちはあなたにひとつ、明かさねばならないことがあります」
「……なんでしょうか」
緊張しつつ、ミランダは応じる。
そういえばアルベック城にいたときに、シリルが「もうひとつ、言わないといけないことがあるんだ」と言っていたのだった。
(もしかして、シリル様の好きな人のこととか?)
ひとまずそう予想していたのだが、女王の表情からそういう方向の話ではなさそうだとすぐにわかった。
「……シリルはセドリックの『祝福印』測定をしたときに、自分が父親だと神官に報告したということです」
「……はい」
「そのことについてシリルは、いろいろ言い訳をしたでしょう。好きな人がいるとか、ちょうどいいからとか」
……確かに、そんなことを言っていた。そしてやはり、シリルの好きな人の話になってしまった。
だがミランダの隣にいるシリルは険しい表情をしており、ミランダはにわかに不安になってきた。
「……シリル様?」
「ミランダ、ごめん。僕はまだ、君に嘘をついていた。でもこの嘘は……君のためについたんだ」
「えっ?」
シリルの緑色の目とミランダの青色の目が、重なった。
あの日、シリルは大きなショックを受けた。
ベッドに伏せるミランダの代わりに、セドリックを抱っこして測定を行った。
最初に水晶玉が強く光ったときは、さすがミランダの子だと少し誇らしい気持ちだったが――『祝福印』が【剣】と【氷】だと知って、驚愕した。
そのときのシリルは、ミランダに助けられたことも自分が彼女を抱いたことも知らない。つまり、セドリックは絶対に自分の子ではないと思っていた。
それなのに、セドリックは母から受け継いだ【氷】の他に、王家の証しである【剣】の『祝福印』も持っている。これは、どういうことなのか。
「……今のリドベキア王家に、若い男性はいない。存命するのは、僕だけ……いや、僕だけだった」
「だった?」
ミランダが問うと、女王が震える声を吐き出した。
「……一人だけ、いた。そいつは、もうこの世にいないと思っていた」
「……まさか!」
ミランダは、息を呑む。
シリルの他に、【剣】の『祝福印』をセドリックに授けられる人。
そんな人は今の王家にはいないが――そう、数年前にはいた。
女王の弟が。
「……なんでしょうか」
緊張しつつ、ミランダは応じる。
そういえばアルベック城にいたときに、シリルが「もうひとつ、言わないといけないことがあるんだ」と言っていたのだった。
(もしかして、シリル様の好きな人のこととか?)
ひとまずそう予想していたのだが、女王の表情からそういう方向の話ではなさそうだとすぐにわかった。
「……シリルはセドリックの『祝福印』測定をしたときに、自分が父親だと神官に報告したということです」
「……はい」
「そのことについてシリルは、いろいろ言い訳をしたでしょう。好きな人がいるとか、ちょうどいいからとか」
……確かに、そんなことを言っていた。そしてやはり、シリルの好きな人の話になってしまった。
だがミランダの隣にいるシリルは険しい表情をしており、ミランダはにわかに不安になってきた。
「……シリル様?」
「ミランダ、ごめん。僕はまだ、君に嘘をついていた。でもこの嘘は……君のためについたんだ」
「えっ?」
シリルの緑色の目とミランダの青色の目が、重なった。
あの日、シリルは大きなショックを受けた。
ベッドに伏せるミランダの代わりに、セドリックを抱っこして測定を行った。
最初に水晶玉が強く光ったときは、さすがミランダの子だと少し誇らしい気持ちだったが――『祝福印』が【剣】と【氷】だと知って、驚愕した。
そのときのシリルは、ミランダに助けられたことも自分が彼女を抱いたことも知らない。つまり、セドリックは絶対に自分の子ではないと思っていた。
それなのに、セドリックは母から受け継いだ【氷】の他に、王家の証しである【剣】の『祝福印』も持っている。これは、どういうことなのか。
「……今のリドベキア王家に、若い男性はいない。存命するのは、僕だけ……いや、僕だけだった」
「だった?」
ミランダが問うと、女王が震える声を吐き出した。
「……一人だけ、いた。そいつは、もうこの世にいないと思っていた」
「……まさか!」
ミランダは、息を呑む。
シリルの他に、【剣】の『祝福印』をセドリックに授けられる人。
そんな人は今の王家にはいないが――そう、数年前にはいた。
女王の弟が。