崖っぷち魔術師は嘘をつく~一夜の過ちを犯した相手には、好きな人がいました~
 シリル王子とミランダ王子妃の婚礼は、国民から祝福された。

 王太子夫妻であるものの、シリル王子はミランダ妃を離宮に閉じ込めることをよしとせず、ミランダ妃が自らが城主を務める王国領のアルベック城にも飛んでいくことも笑顔で許していた。

 夫婦は第一子であるセドリック殿下ののちにも子宝に恵まれ、最終的に二人の王子と二人の王女をもった。
 祖母であるベアトリクス女王は孫たちにめろめろで、気高き女王陛下が背中に孫を乗せてお馬さんごっこをするという衝撃の光景さえ見られた。




 婚礼の日から、十年ほど経った頃。

 王国の動乱の時期を乗り切った名君であるリドベキア王国女王ベアトリクスが退位を宣言し、王太子であるシリルが即位した。

 誰にでも優しく平等に接するシリル王は母に負けず劣らずの名君となり、また妃と子どもたちを溺愛するよき父親でもあった。

 そんな非の打ち所のないシリル王だったが……家族で自分にだけ魔力がないのを密かに悔しく思っていたようだ。だが妻と子どもたちが自由自在に空を飛ぶのをうらやましくも思いつつも、「僕の奥さんと子どもたちは、本当に優秀だな」と笑顔で言っていた。

 この温かな風景をそばで見守れたことが、私にとっての最大の名誉であり、幸福であると断言したい。

 ――王妃付魔術師隊長・レベッカ記す。
< 81 / 81 >

ひとこと感想を投票しよう!

あなたはこの作品を・・・

と評価しました。
すべての感想数:0

この作品の感想を3つまで選択できます。

  • 処理中にエラーが発生したためひとこと感想を投票できません。
  • 投票する

この作家の他の作品

英雄は時を駆ける~エリート将軍の年上花嫁~

総文字数/95,847

ファンタジー93ページ

表紙を見る 表紙を閉じる
若き将軍の補佐官として働くリリアーヌは、行き遅れに片足を突っ込みかけた25歳。 彼女はある日、自分の上官であるシャルル・レミ・デュノア将軍(20歳)と結婚するよう命じられる。 これも任務だと受け入れたリリアーヌは、自分の方が年上で部下なのだからとシャルルとの結婚生活に前向きに挑むが、シャルルの方が遠慮がちで―― ※番外編は内容エグめです ※『小説家になろう』にも掲載
表紙を見る 表紙を閉じる
ラプラディア王国第一王女でありながら修道院の司祭として働くカミラはある日、横暴な兄に妹の婚約者だった少年騎士との結婚を命じられる。 カミラは美しい妹ではなくて八つも年上の自分と結婚せざるを得ない夫のルークを気の毒に思い、結婚生活もぎこちないものになる。 やがてカミラは娘を授かるが、襲撃者から娘を庇ったことで石化してしまう。 カミラが目覚めたときには、十五年の年月が経っていた。そんな彼女を待っていたのは、年齢差が逆転した夫と美しい女性に育った娘からの溺愛だった――!? ※『小説家になろう』にも掲載
捨てられた『壁令嬢』、北方騎士団の癒やし担当になる

総文字数/96,676

ファンタジー74ページ

表紙を見る 表紙を閉じる
※書籍化決定 背の高さと骨格のよさが原因で、『壁の花』ならぬ『壁令嬢』と呼ばれる、ウィンバリー子爵家の次女であるシャノン。 両親から冷遇され姉と妹から馬鹿にされてきた彼女は婚約者からも「でかい女」扱いされて、婚約破棄されてしまう。 怒った父により勘当されたシャノンは、王都から離れたところで自立して生きていくことを決意。王国北部の辺境伯領の騎士団で事務官として働くことになったのだが、男性も女性も大柄なこの城でシャノンは「小さくてかわいいお嬢さん」扱いされてしまうのだった。 「あなたは小さくてかわいい。それに私は、あなたのしっかりとした強さと意志を感じられる背中が、大好きだ」 極寒の新天地で、コンプレックスを溶かすほどの優しさと深い愛情に、シャノンは包まれていく。 ※『小説家になろう』にも掲載

この作品を見ている人にオススメ

読み込み中…

この作品をシェア

pagetop