崖っぷち魔術師は嘘をつく~一夜の過ちを犯した相手には、好きな人がいました~
シリル王子とミランダ王子妃の婚礼は、国民から祝福された。
王太子夫妻であるものの、シリル王子はミランダ妃を離宮に閉じ込めることをよしとせず、ミランダ妃が自らが城主を務める王国領のアルベック城にも飛んでいくことも笑顔で許していた。
夫婦は第一子であるセドリック殿下ののちにも子宝に恵まれ、最終的に二人の王子と二人の王女をもった。
祖母であるベアトリクス女王は孫たちにめろめろで、気高き女王陛下が背中に孫を乗せてお馬さんごっこをするという衝撃の光景さえ見られた。
婚礼の日から、十年ほど経った頃。
王国の動乱の時期を乗り切った名君であるリドベキア王国女王ベアトリクスが退位を宣言し、王太子であるシリルが即位した。
誰にでも優しく平等に接するシリル王は母に負けず劣らずの名君となり、また妃と子どもたちを溺愛するよき父親でもあった。
そんな非の打ち所のないシリル王だったが……家族で自分にだけ魔力がないのを密かに悔しく思っていたようだ。だが妻と子どもたちが自由自在に空を飛ぶのをうらやましくも思いつつも、「僕の奥さんと子どもたちは、本当に優秀だな」と笑顔で言っていた。
この温かな風景をそばで見守れたことが、私にとっての最大の名誉であり、幸福であると断言したい。
――王妃付魔術師隊長・レベッカ記す。
王太子夫妻であるものの、シリル王子はミランダ妃を離宮に閉じ込めることをよしとせず、ミランダ妃が自らが城主を務める王国領のアルベック城にも飛んでいくことも笑顔で許していた。
夫婦は第一子であるセドリック殿下ののちにも子宝に恵まれ、最終的に二人の王子と二人の王女をもった。
祖母であるベアトリクス女王は孫たちにめろめろで、気高き女王陛下が背中に孫を乗せてお馬さんごっこをするという衝撃の光景さえ見られた。
婚礼の日から、十年ほど経った頃。
王国の動乱の時期を乗り切った名君であるリドベキア王国女王ベアトリクスが退位を宣言し、王太子であるシリルが即位した。
誰にでも優しく平等に接するシリル王は母に負けず劣らずの名君となり、また妃と子どもたちを溺愛するよき父親でもあった。
そんな非の打ち所のないシリル王だったが……家族で自分にだけ魔力がないのを密かに悔しく思っていたようだ。だが妻と子どもたちが自由自在に空を飛ぶのをうらやましくも思いつつも、「僕の奥さんと子どもたちは、本当に優秀だな」と笑顔で言っていた。
この温かな風景をそばで見守れたことが、私にとっての最大の名誉であり、幸福であると断言したい。
――王妃付魔術師隊長・レベッカ記す。


