ほな、温泉行こか?
泉は昼間、仕事となれば黙々と作業をこなす。

多少の無理難題を押しつけられても、翌日には持ち越さない。

その代わり、夜はこうして大将相手に愚痴をこぼす。

大将も慣れたもので、適当に相槌を打ちながら話を聞いていた。

「泉ちゃん、今日はもう帰って寝た方がええんちゃう?」

「嫌や!まだ飲み足りへん!」

「明日も仕事やろ?」

「明日は休みやもん!」

泉は得意げにビールを持ち上げた。

そのとき、店の暖簾が揺れた。

「こんばんは!」

「あれ? 悠やん!」

「泉さん!久しぶりです!」

仕事帰りの悠が、嬉しそうに駆け寄ってきた。

(おった!ほんまにおった!)

(もしかしたら会えるかも思うて寄ってみたけど……)

(今日の俺、めっちゃツイてるやん!)

「悠、仕事帰り?」

「はい!ちょっと残業してまして」

「ほな、こっち座りぃ!」
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