ほな、温泉行こか?
朝風呂から戻った泉は、すっかり上機嫌だった。

「はぁ〜! やっぱり朝風呂は最高やなぁ!」

「よかったですね」

「悠も入ってきたらよかったのに」

(俺は昨夜のことで頭いっぱいやっちゅうねん……)

二人は荷物をまとめ、フロントへ向かった。

「ご宿泊ありがとうございました」

係員が笑顔で伝票を差し出した。

悠は財布からクレジットカードを取り出した。

「こちらでお願いします!」

「申し訳ございません。こちらのプランは現金精算のみとなっております」

「……えっ?」

悠の笑顔が固まった。

(げ、現金のみ!?)

慌てて財布の中身を確認する。

一万円札が一枚と、千円札が数枚。

(……足りへん!)

「悠? どないしたん?」

悠はゆっくりと泉を振り返った。

「泉さん……お金、貸してもらえませんか?」

< 33 / 39 >

この作品をシェア

pagetop