ほな、温泉行こか?
店の前には、黒い高級車が停まっていた。

泉が近づくと、助手席のドアが開いた。

「……えっ?」

悠は思わず目を見開いた。

泉は慣れた様子で車に乗り込んだ。

やがて車は、静かに走り去っていった。

(……なんや、あの車)

(泉さん、いったい何者なんや?)

悠はしばらく窓の外を見つめていた。

「悠くん、どないしたん?」

大将の声に、悠は我に返った。

「あ、いえ……何でもありません」

(……それにしても)

(俺、温泉旅行に誘ったんやんな?)

(混浴して、ええ雰囲気になって……)

(ほんで結局、泉さんに借金して帰ってきただけやんけ!)

悠は深いため息をついた。

(……次は給料日直後に誘お)

しばらく考えて、ハッとした。

(いや、その前にコンドーム用意しとけよ、俺!!)




おわり
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