孤独なあなたに、夕食を。 〜食べられないCEOの胃袋を掴んだら本気の口説きが始まりました〜

③真実か、挑戦か

――――目覚めると、アランは存在せず、広いベッドには彼の代わりに小さな紙袋が置かれてあった。

その傍には一通の手紙。
由香は視線を彷徨わせ下着が掛けられた椅子を見つけたあと、手紙を手に取った。

一夜限りの相手に配慮なんて期待していなかったけれど、一体何のためにこんなものを?

封を開き、中を認めると「真実か、挑戦か」という言葉から始まり、由香を試すような内容が書かれてあった。

『真実なら、その紙袋を持って帰ってくれ。一晩付き合ってもらった礼だ。挑戦を選ぶなら君にチャンスを。三日間、俺にディナーを用意しろ。気に入ったら栄養士として雇ってもいい。必要なものはコンシェルジュに用意させるように。君が選べ。人生の分岐点だ』

――分岐点……?選べって、どういうつもり……?

手紙を置いて、突拍子もない提案に戸惑いながらも下着を身に着けガウンを纏う。

そして急いで自分の鞄を探した。
スマホを見ると、時刻は九時を過ぎている。

いつも早朝五時から起きている由香にとって、完全に寝過ごした時間帯だった。

寝室を出てリビングへ行くと、太陽の光が遠慮なく由香を照らした。
五十六階という高層階の窓からはセントラルパークの絶景が見える。

由香が住むアパートメントは、窓を開けるとレンガの壁が出迎えてくるが、ここには遮るものがない。
その清々しさに暫らく見惚れたものの、しかしふと我に返る。

――真実か挑戦か、なんて……ふざけてるだけだよね。

アランはアッパークラスの人間で、面白がってこんなゲームを仕掛けているのかもしれない。

相手はたった一晩過ごした人。
挑戦なんて書いて、気紛れに遊ばれているだけかもしれない。

高圧的な書き方にもアランの不躾さが滲み出ていて、深く関わらない方がいいようにも思う。

しかし、由香は手紙を握り締めたまま、それを捨てることは出来なかった。

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