孤独なあなたに、夕食を。 〜食べられないCEOの胃袋を掴んだら本気の口説きが始まりました〜
「ちょっと、何を言い出すつもり……」

ローザは険しい顔でアランを振り返ったが、今度は激しく動揺することはなかった。

理解してもらいたいと長年願い続けた感情が、反抗を諦めることにした瞬間だった。

ぶつかり合っても、分かり合えない時はある。

「……クリスマスも、彼女と一緒じゃなけりゃ家に寄る気はないよ。それぐらい大切な人なんだ……食わないなら、帰ってくれ」

至極冷静にアランは自らの意思を示した。

するとローザはツンとした表情でアラン達を見ると扉に向かって歩き出す。

これが今の彼女の答えらしい。

そして扉を出て、アランを忌々し気に振り返る。

その目元に皺が出来ていることに気づくほど、まじまじと顔を見たのは随分と久し振りだった。

「やっと家に寄る気になったと思えば、条件付きなのね」

「あぁ」

「……私は認めないわよ」

「お互い譲れないなら、それが答えだろうな」

アランは諦めたように、ふっと笑った。

するとローザは瞳を大きく瞬いたあと眇めた視線を返した。

「……怒らないのね。いつも苛々していたくせに。シルバーチャリティではリアムにシャンパンをかけたと聞いたわ」

「あんたのお気に入りは濡れても色男だから構わないだろ?でもまぁ……怒りぶつけるのには、疲れた。俺は彼女と穏やかな時間を過ごしたい……」

「そう……勝手になさい」

言えばローザは背を向けて部屋から立ち去ってゆく。

また来年も押しかけてくるのかは分からないが、今はその背を追う必要はないとアランは感じていた。

今は分かり合えなくとも、先のことは未知である。

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