きみが窓を見なくなるまで
「練習は、まだ?」

「しばらく無理です」

「そう。ここでは走らなくていいから、ゆっくりしていって」

高木くんの口元が、わずかに動く。

「走ったら怒られるんじゃないですか」

「もちろん」

先生が答えると、今度ははっきり笑った。

私は本の角を揃え直した。

バスケをしていることは知っていた。

体育館の前で、練習着姿を見たことがある。
教室でも、部活の話をしていた気がする。

怪我をしたことは、知らなかった。

同じ部屋で毎日過ごしていても、知らないことのほうがずっと多い。

当たり前なのに、少し不思議だった。
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