きみが窓を見なくなるまで
現代文の授業で、登場人物の気持ちを書く問題が出た。

私は教科書の一文を読み返した。

言葉は、書いてある。

行動も、書いてある。

それでも、答えを一つにするのは難しかった。

好きだから、優しくする。

優しい人だから、優しくする。

どちらでも、同じことが起こる。

私はそこまで考えて、手を止めた。

今は教科書の話だった。

ノートを見る。

解答欄は、まだ空いている。

先生が机の間を歩いてきたので、私は慌ててペンを持ち直した。

自分のことを考えているうちに、知らない人の気持ちまでわからなくなっていた。
< 142 / 385 >

この作品をシェア

pagetop