きみが窓を見なくなるまで
数ページ読んだところで、思いがけない一文があった。

閉まった店へ通う理由を尋ねられた主人公が、開いていると注文しなければならないから、と答える。

私は一度、文章を読み直した。

それから、口元を押さえた。

そこを面倒がるのか。

けれど、少しだけわかる気もした。

誰にも用件を聞かれず、何も選ばず、その場所にだけいられるなら。

本の上へ視線を落としたまま、小さく笑う。

遠くで椅子が鳴った。

なんとなく顔を上げると、高木くんの口元も緩んでいた。

彼は窓を向いていた。

私は、外へ目を移した。
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