きみが窓を見なくなるまで
「明日、体育だから」

私が言うと、高木くんは頷いた。

「うん」

「たぶん、結ぶ」

彼の視線が、私の手元へ落ちる。

指に掛けた黒いゴム。

それから、また私を見る。

「……そっか」

短い返事だった。

でも、さっきより柔らかく聞こえた。

高木くんは本を持って、窓際へ戻った。

私はその背中を見送る。

自分の髪へ、そっと触れた。

彼の指が動いた場所を確かめるみたいになって、慌てて手を下ろす。

カウンターの下で、ゴムを手首へ通した。
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