きみが窓を見なくなるまで
帰る前、洗面所の鏡を見た。

髪は、少しだけ波打っていた。

結んだ跡。

私は指を通して、まっすぐにしようとする。

完全には戻らなかった。

高木くんが、ほどいてくれた。

そのことを思い出すだけで、鏡の中の顔が変わる。

私は頬へ冷たい手を当てた。

みなみのことが好きな人。

そう思っていた。

今も、その考えがなくなったわけではない。

でも、今日は彼のほうが困っていた。

私を見て。
言葉に詰まって。
耳を赤くしていた。

期待してはいけない理由なら、いくつも考えられる。

期待してしまう理由も、増えていく。

私は鏡から目を離し、鞄を持った。

ほどけた髪が、肩の上で小さく揺れた。
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