きみが窓を見なくなるまで
先生が、奥で棚を開ける音がした。

私は高木くんを見る。

冗談を言っている顔ではなかった。

でも、深刻でもない。

ただ、返事を待っている。

「……私?」

聞き返すと、彼の口元がわずかに緩んだ。

「うん」

自分でも、変なことを聞いたと思った。

ここに佐々木は私しかいない。

妃菜も、私しかいない。

「いいけど」

声が小さくなる。

高木くんは頷いた。

「じゃ、妃菜」

すぐに呼ばれるとは思っていなかった。

私はフィルムから指を離し損ねた。

端が少し浮く。

慌てて押さえ直すと、彼が横で小さく笑った。
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