きみが窓を見なくなるまで
名前を呼ばれただけだ。

みなみは、毎日呼んでいる。

先生だって、たまに下の名前で呼ぶ。

それなのに、高木くんの声だと、いつもより自分の近くに届く気がした。

私は目の前の本を揃えた。

何か返したほうがいいのだろうか。

同じように、名前で。

隼人くん。

頭の中で一度言っただけで、口にするのが難しくなった。

高木くんは完成した本を先生の机へ運び、戻ってきた。

「次もやる?」

私は顔を上げた。

「……うん」

彼の名前は、まだ呼べなかった。
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