きみが窓を見なくなるまで
その日の帰りは、みなみと一緒だった。

朝のうちに約束していた。

閉館前、みなみが図書室へ来る。

「今日、寒いね」

小声で言いながら、カウンターの前へ立つ。

私は頷いた。

「外、風ある?」

「ちょっと。自転車の人、大変そう」

窓際で、隼人くんが顔を上げた。

みなみが気づいて手を振る。

「高木、自転車だよね」

「駅から」

「帰り、向かい風かも」

「じゃ、ゆっくり帰る」

二人の短い会話を聞きながら、私は鞄へ本を入れた。

私には、名前を呼ぶだけでも勇気が要った。

みなみは、彼の帰り道を自然に気にかけられる。
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