きみが窓を見なくなるまで
高木くんは棚の間を一度だけ歩き、文庫本を手に取った。

迷いなく選んだのか、迷う気力がなかったのかはわからない。

窓際の席へ向かい、椅子の背に鞄を掛ける。

座るとき、机に片手をついた。

私はそこで視線を外し、返却本を抱えた。

見すぎたかもしれない。

でも、気づかれてはいないと思う。

棚の前にしゃがみ、背表紙の番号を確かめる。

一冊戻す。
隣の本を少しずらす。
もう一冊、間へ入れる。

何でもない作業を、いつもより丁寧にした。

カウンターへ戻る途中で、窓際が視界に入った。

高木くんは、本を開いていた。

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