きみが窓を見なくなるまで
「会えると、うれしいの」

みなみは頷いた。

「うん」

「そのときは、ほんとにうれしくて。何を話したか、帰ってからも思い出して」

私は指先で、ティッシュの端を折った。

「でも、あとから考えると、全部、違うのかもしれないって」

ブレザー。

名前。

近くで聞いた声。

大切にしていたものを、自分で疑うのがつらかった。

「私だけ、違うふうに受け取ってたら……」

言葉が途切れる。

みなみが、少しだけ体をこちらへ向けた。

「その人に、好きな子がいるって」

彼女はそこで一度区切った。

「その人が、言ったの?」

私は指を止めた。
< 301 / 385 >

この作品をシェア

pagetop