きみが窓を見なくなるまで
「……きれいだった」

言うと、隼人くんの笑いが止まった。

私は慌てて付け足した。

「ボールが。飛ぶところ」

「うん」

彼の視線が一度、廊下の窓へ動く。

私は続ける言葉を探した。

上手いね、だけでは足りない気がした。

「音、あんまりしなかった」

隼人くんが、また私を見る。

「ネット?」

私は頷いた。

「ああいうの、初めてちゃんと見た」

彼はしばらく黙っていた。

それから、少し低い声で言った。

「また見て」

私は顔を上げた。

隼人くんは、今度は目をそらさなかった。
< 323 / 385 >

この作品をシェア

pagetop