きみが窓を見なくなるまで
帰りのホームルームが終わると、教室の音が一斉に大きくなった。

椅子を引く音。
机の中を探る音。
廊下にいる誰かを呼ぶ声。

私は鞄に教科書を入れてから、別にしておいた文庫本をその上へ載せた。

「妃菜、今日当番?」

みなみが、肩にテニスバッグを掛ける。

「うん。図書室」

「そっか。じゃ、また明日」

「部活、頑張ってね」

「ありがと。小テストは忘れたい」

「まだ返ってきてないよ」

「返ってくる前に忘れとくの」

その順番でいいのだろうか。

思わず笑うと、みなみは満足そうに手を振った。

私も、小さく振り返した。

そういう別れ方ができることを、まだ時々うれしいと思う。
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