きみが窓を見なくなるまで
後ろの席から、陸くんの声が聞こえた。

「隼人、今日どうすんの。帰り、駅前寄る?」

「今日はいい」

「なんで」

「寄る気分じゃない」

「理由、正直すぎ」

高木くんは、悪びれた様子もなく紙パックを畳んだ。

「明日なら行く」

「はいはい。じゃあ明日な」

それで、会話は次の話題へ移った。

私は箸を持ったまま、少しだけ後ろを見る。

高木くんはもう、別の男子の話を聞いていた。

断るために、用事を作らなくてもいいんだ。

気分じゃないと言っても、明日がなくなるわけじゃない。

そんなふうに言えることも。
そんなふうに受け取ってもらえることも。

少し、いいなと思った。
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