あなたと見つけた、幸せのかたち
第10話 同棲は、蜜の味
「みんなにも紹介したし。
そろそろ、一緒に暮らしたいなぁ」
菜月がある日、自分の部屋でそう言った。
「ほんと? じゃあ……うちに引っ越してくる?
コーヒーショップにも近いし」
直哉は、ドキドキした。菜月の言葉が嬉しかった。
「いいの?」
「もちろんだよ、菜月」
直哉は破顔した。
「よかった」
二人は、直哉の部屋で同棲することにした。
「楽しみだなぁ」
「そうだね!」
菜月の荷物が、引っ越し屋によって運び込まれてくる。
──あぁ。本当に一緒に暮らすんだなぁ。
直哉が感慨深く思う。
段ボールが積み上がった部屋を見て、二人で笑う。
──これから、ここで新しい生活が始まるんだ。
少し荷物を片づけてから、食材やこれからの生活に必要な物の買い物に行く。
疲れたので、デリバリーのピザで夕食を済ませる。
「たまには、こういうのもいいな」
「そうね!」
そして、一緒にお風呂に入る。
大きな湯船に一緒に浸かって、思う存分いちゃいちゃした。
お風呂から出ると、菜月がドライヤーで髪を乾かすのを待って、今度はくっついて過ごす。
「これからは毎日一緒だな!」
「うん……うれしいよぉ、直哉」
「俺も。これからは、毎日菜月と会えるなんて──菜月と暮らせるなんて、夢みたいだ」
直哉は、菜月の頬にキスして、首筋にも──そして、唇に長くキスした。
嬉しくて仕方なかった。
朝、一緒に目覚める。
「お、おはよう」
「おはよう、菜月。今日も、すごくかわいいよ」
「やだぁ……」
愛されたことを思い出し、今日もドキドキする。
服を着ると、菜月が朝ごはんを作り、直哉と一緒に食べる。
サラダを挟んだトーストと牛乳だった。
シンプルだけど、おいしい。
いや、ふたりならなんでも、おいしかった。
食事を済ますと、手を振って、別々の職場へ行く。
「課長〜。同棲始めたって、マジっすか?」
直哉は、若い同性の部下にちゃかされた。
「お相手、いくつなんですか?」
「24」
「若!」
もちろん、美沙希も放っておかない。
「課長! ついに、やりましたね!
今度、ぜひ、紹介してください」
「う、うん。機会があればな」
直哉は、咳払いして、照れた。
「菜月ちゃん、直哉くんと暮らしてるんだって?」
菜月は菜月で、コーヒーショップのお客さんたちに質問攻めに遭った。
「直哉くん、優しい? 大丈夫?」
「も、もちろんですよぉ。心配しなくても大丈夫ですよぉ!」
「決め手はなんだったの?」
「え。え〜と……う、う〜ん……」
菜月も照れた。
疲れて帰宅すると、
先に帰っていた菜月が、笑顔で出迎える。
「おかえり!」
直哉は、優しく微笑んで言った。
「ただいま」