あなたと見つけた、幸せのかたち
第8話 再会は、炎の色
「菜月〜! こっち、こっち!」
同級生だった江渡夕美《えとゆうみ》が、菜月を呼ぶ。
「夕美、久しぶり!」
夕美の隣に座る。
同窓会に、菜月は来ていた。
今日は、カチッとしたセットアップにした。
場所は、居酒屋の大部屋だった。
みんなで盛り上がった。
ビールジョッキの合わさる音。笑い声。
菜月も楽しくなる。
昔に戻ったみたいだった。
いまどうしてる、とか、先生の話や、思い出話などをする。
「なーちゃん?」
不意に、幼なじみの藤井亮太《ふじいりょうた》が、寄ってきた。
「りょうくん?」
「久しぶり!」
直哉がまた、菜月の家に泊まりに来ている。
菜月が先にシャワーを浴びていた。
テーブルに置かれた菜月のスマホが鳴った。
直哉は、なんとはなしに通知を見てしまった。
『なーちゃん、こないだは楽しかったな!』
──なーちゃん?
誰だ?
なんだか、嫌な予感がした。
しかし、直哉は平然を装った。
菜月は亮太からのLINEに、返事をしていた。
『なーちゃん、今度、ご飯でも行かない?』
『いいよ』
普通に、幼なじみとして、懐かしかった。
「なーちゃん!」
ファミレスで、ランチした。
「りょうくん。全然、変わらないね!」
「なーちゃんは、変わった」
「ええ?」
「……綺麗になった」
「もう。お世辞はいいよぉ」
直哉は、気にしないふりをした。
──《《なーちゃん》》。
でも、本当は気になった。
そんな時。
直哉は、菜月と亮太が一緒に、楽しそうに歩いているところを、目撃してしまう。
直哉の目が見開かれた。
二人の距離は近く、はたから見たら、恋人同士のようだった。
なにより、菜月が屈託なく笑っている。
「りょうくん。それおもしろい!」
「だろ?」
直哉の拳が震えた。
「菜月」
直哉は、心を隠して、菜月に甘えた。
大人としての、プライドみたいなものがあった。
「好きだよ。菜月は?」
ぴったりくっついてくる直哉がかわいくて、菜月はキュンとした。
「菜月」
「私も、好き」
二人で手を合わせて、キスをした。
「かわいい、菜月」
もう一度、キスをした。
「あ。そういえば」
夕食を食べながら、菜月が言った。
「今日、幼なじみに会ったよ」
「──それって……。どういう関係?」
「昔、つきあってた。でも、もう学生のときの話だよ」
「どうして、話してくれなかったの?」
「ごめん、隠すつもりはなくて……」
「菜月は俺の彼女だろ。
どうして、他の男と会うんだよ」
直哉の瞳に、嫉妬の炎が燃えている。
「ご、ごめん……。そんなつもりじゃなかったの」
菜月は、スマホを取った。
『りょうくん、ごめんね。もう、二人では会わない』
メッセージを打つと、すぐに電話がかかってきた。
直哉が何か言いたそうな顔をしている。
「出ても、いいよ」
「うん」
『なーちゃん? どうして?』
『ごめんなさい』
『なーちゃん、俺、なーちゃんが好きだ』
『……ごめんね。今は大切な人がいるから』
『俺こそごめん。知らなくて……』
亮太は潔く引き下がった。
菜月は、ホッとした。
「菜月」
電話を切ると、直哉が抱きしめてくる。
「ありがとう。俺、嫉妬して言いすぎた。
菜月、ごめんね。愛してるよ」
二人は、キスをし、仲良く寝室に向かった。