名探偵は活躍しない~Season2~
 ぱっちりおめめの横溝くんに呆然としつつ、横溝くんが注文したオムライスが運ばれてきた。
 私は店員さんに「スープください」と言った。

「お先にいただきます」
 手を合わせ、頭をぺこりと下げてから食べる横溝くんを見ていると。
 本当に10歳なのかと疑わしく見えた。
 ただ、既視感があるのは。
 アミちゃんの影響かもしれない。
「あ、私。逢坂まりあっていいます」
 驚きすぎて、自分の自己紹介をするのを忘れていた。
 横溝くんは「知っています」と言った。

「今回は、おじいさんと旅行なのかしら」
 私のもとにもスープが届いて。
 いただきますと言って一礼してからスプーンを手に持つ。

「いいえ。逢坂家から招待されました」
「えっ!?」
 思わず大声が出てしまう。
 そんなの聴いていない。
「明日、謎解きゲーム大会が開催されるそうで、ぼくだけじゃなく、他の探偵さんも招待されているそうですよ」
「ということは…」
 たらり…と額から汗が流れる。
 見計らったかのように「ちょっと、まりあ!」という声が降ってきた。

「次郎太おじさまは帰っちゃたわよ。パーティーすっぽかすなんて、いい度胸ね」
「…船酔いしてさっきまで寝ていました」
 ドレス姿の桜子ちゃんを見て、反射的に頭を下げる。
「あら、横溝陽翔くんだ! なになに、あんた。ナンパしたの?」
「…席がなくて、相席になっただけです」
 遠くから「桜子ー」という声がして、声のするほうを見ると。
 そこには、椿ちゃん、松田くん。
 くうちゃん、そしてくうちゃんのストーカーである西園寺美紗さんと景本若菜さんがいた。
 げええ…と心の中で叫ぶ。
「ふああ…まりあさん。ぼく、眠たいです。お部屋どこにあるか忘れました」
「あら、話に聴いていたのと違うわね。ハルト君。甘えん坊さんだこと。まりあ、部屋まで送ってあげなさいよ」
 立ち上がって目をこする横溝くんに、桜子ちゃんは優し気な目で言った。
 助かった…とばかりに。
 私は「御馳走様でした」と言って、横溝くんと手を繋いで。
 その場を離れることに成功した。

「…ごめんね、なんか気を遣わせてもらって」
 10歳だというのに、私が面倒臭いと思ったことを。
 すぐに嗅ぎ付けたのだろう。
 助けてくれた。
「いいえ。僕こそ、他の探偵さんたち…あまり好ましく思っていないので」
 見た目によらない大人な発言に、ふふっと笑ってしまう。
「探偵さん同士って仲良くはならないのかな?」
「どうでしょうね。僕の知っている限りはバチバチしていますけど」
 吹き抜けのロビーのようなところに出ると、横溝くんは立ち止まった。

「まりあさん、お願いがあります」
「なあに?」
 私は横溝くんの目線の高さにしゃがみ込む。
「明日の謎解きゲーム大会で優勝したら、僕とデートしてくれますか?」
「デート!? 私なんかと!?」
「はい、まりあさんとデートしたいです」
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