ワンコなふりしてドSだなんて、どういうことですか!
 いつの間にか、部屋のどこかから静かな洋楽のメロディが流れていた。お洒落だけど主張しすぎない心地いいテンポが緊張を解きほぐしてくれるようだった。

「ブカブカでしたね」

 私はフフッと笑ってTシャツの裾を摘まみ、バレリーナのように脚を曲げると、先生は、あははと楽しそうに笑う。

「さぁ、座ってください」

 にっこりと笑みを浮かべた彼の両手にはワイングラスがある。

「はい。ありがとうございます」

 さっきの店ではノンアルしか飲まなかったので、もう少しなら飲めそうだ。促されるまま、大きなL字型ソファーの一角に腰を下ろした。

 九条先生もその隣、コーナーの角を挟んだ斜向かいの位置に、身体を沈める。近すぎず遠すぎない、お互いの横顔がちょうど視界に入る絶妙な距離だった。

 彼はグラスをテーブルに置き、ボトルを傾けると透き通った琥珀色の液体を静かに注ぎ込む。白ワインを注ぐトクトクと心地よい音がリビングに響いた。

「それで、もう少し雪村さんの〝友だち〟の話を聞かせてくださいよ」

「ああ……」
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